およげ!たいやきくん

『およげ!たいやきくん』を知らない人はいないと考えた上で書きます。
今更こんな時代錯誤な歌をネタにすることをお許しください。
暇な授業中に『およげ!たいやきくん』を目にして、少し考えてみたのです。
そして、この歌詞に疑問符をつけた。

こちらが『およげ!たいやきくん』の歌詞全貌です。

まいにち まいにち ぼくらはてっぱんの
うえで やかれて いやになっちゃうよ
あるあさ ぼくは みせのおじさんと
けんかして うみに にげこんだのさ

はじめて およいだ うみのそこ
とっても きもちが いいもんだ
おなかの あんこが おもいけど
うみは ひろいぜ こころがはずむ
ももいろ サンゴが てをふって
ぼくの およぎを ながめていたよ

まいにち まいにち たのしいことばかり
なんぱせんが ぼくのすみかさ
ときどき サメに いじめられるけど
そんなときゃ そうさ にげるのさ

いちにち およげば はらぺこさ
めだまも くるくる まわっちゃう
たまには エビでも くわなけりゃ
しおみず ばかりじゃ ふやけてしまう
いわばの かげから くいつけば
それは ちいさな つりばりだった

どんなに どんなに もがいても
ハリが のどから とれないよ
はまべで みしらぬ おじさんが
ぼくを つりあげ びっくりしてた

やっぱり ぼくは たいやきさ
すこし こげある たいやきさ
おじさん つばを のみこんで
ぼくを うまそうに たべたのさ


まず不思議に感じたのが「毎日毎日、鉄板の上で焼かれていること」。
普通にタイ焼きを売っていれば、その日のうちに買い手に渡る、もしくは処分されるだろう。
一人称複数形の『ぼくら』が用いられている以上、1つの魂を複数のタイ焼きが共有しているとも考えづらい。
「毎日入れ替わるタイ焼きに、前日と同じ魂が宿るのか」とも考えたが、
販売しているタイ焼きなので、それも考えにくい。

それでも、この歌詞の『ぼく』は毎日鉄板の上で焼かれているのだ。
『ぼく』は何物だ。
窮めつけは最後の方にある『やっぱり ぼくは たいやきさ』。
この歌詞からも『ぼく』がタイ焼き以外の”何か”ではないのかと疑いを持ってしまう。

この『なにか』が海に落ちてからのことを考えてみよう。
登場してくるのは、サンゴ・難破船・サメ・エビ。
何か気付くことはないだろうか。
全て海の深い所にあるものだ。

このことから『なにか』は泳いでいたのではなく、
潮の満ち引きや波により、海底をゴロゴロと転がったていただけなのではないかと考えた。
海中に落ちた当初は、「サンゴが手を振っていた」ことから、海中をゆらゆらと落ちていったと言える。
しかし、その後は全て海底で起こった出来事だと言える。

そろそろ『なにか』の正体に迫ろう。
現状ではっきりと言えることをまとめてみる。

1.タイ焼き屋の鉄板の上で毎日焼かれている。
2.店のおじさんと喧嘩をした。
3.泳ぐ能力はない。
4.『なにか』本人は、自分を”タイ焼き”だと思っている。コゲがあることを自覚している。

以上のことから、私はこの『なにか』をタイ焼き屋の鉄板にこびりついたタイ焼きの残りカスだと考えた。

それでは、大まかなストーリー考察。



「親父さん、僕はいつになったら売れるんだい。」
鉄板にこびりついたタイ焼きの残りカスは、訝しげにタイ焼き屋の親父の顔を見た。
カスが親父に質問を投げかけたのは今日が初めてのことではない。
2週間以上も前から、毎日毎日、親父は質問攻めにあっている。
「そのうち売れるさ。」
カスが売れる訳は無い。親父もそのことは理解していた。
自分をタイ焼きだと思い込んでいるカスに、親父は本当のことを話せずにいた。
そして、いつまでも売れ残るカスに対して、親父はいつも宥めるように『明日は売れるさ』と慰めの言葉をかけている。
「そのうちそのうちって、いつも僕は売れ残るじゃないかっ!!
親父さんだって、何で僕を売らずに他のタイ焼きばかり売るんだよっ!!」
「それは‥‥。実は、お前はタイ焼きじゃないんだ‥‥。」
「何を言ってるの、親父さん。そういう冗談はやめてよ。」
「本当のことだ。」
「もういーよっ!!僕は自分で食べてくれる人を探すよっ!!」
「おいっ!待つんだ。」
カスは鉄板から転げ落ち、そのまま海へと一直線に転げ落ちていった。
海に落ちてしまったカスを追いかけることもできない親父は、カスが落ちた跡の波紋を呆然と眺めていた。

コゲついた体は海水を吸うことはない。
しかし、普通のタイ焼き生地の部分に至っては、海水を吸収してみるみる重くなっていく。
カスはその重みを、餡子の重みだと思い込み、初めて感じたその感覚すら楽しんでいた。
初めての海。
カスには海の知識すらない。
カスの持つ知識は、親父さんのこと、そしてタイ焼きとタイのこと。
タイは海を泳ぐ。
タイ焼きだって海を泳ぐはず。
波によって動き回る自分の身体を、カスが”泳いでいる”と自覚するまでに時間はかからなかった。
「ほら、僕は泳げるんだ。タイ焼きなんだよ。」

難破船まで転がりついたカスは、そこで大きな魚を見つけた。
「変なゴミがあるな。」
大きな魚であるサメは、コロコロと転がるふやけたタイ焼き生地の少しコゲた塊を、『ゴミ』と端的に称した。
「ゴミとは何だ!僕はタイ焼きだ!」
「これがタイ焼きだって?あーっはっはっは!!」
サメはヒレをばんばんと叩いた。
そして、そのときに生じた水流で再び海底を転がっていくカス。
「失礼な奴だったな。まったく‥‥。」
サメに対して憤りを感じつつも、カスは自分自身に疑問を抱いた。
僕は本当にタイ焼きなのか。
これまで誰も、自分をタイとしてもタイ焼きとしても見てくれていない。
親父さんが言うように、僕はタイ焼きじゃないのかも知れない。
サメが笑うように、僕はタイ焼きじゃないのかも知れない。
コロコロと転がり、ぐるぐると思慮を巡らす。
僕は何なんだ。

海底のその先で、カスは光を見つけた。
その光はカスにとって希望の光に思えた。そこに全ての答えがあるかのように。
光がカスに引っかかった。その光の正体は釣り針。
カスは釣り針に引っかかって、見知らぬオジサンに釣り上げられた。
「おぉ!美味そうなタイ焼きだ!」
「良かった‥‥。やっぱり、僕はタイ焼きだ。」
オジサンは釣り上げたカスを大声で『タイ焼き』と呼び、美味そうに食べた。
タイ焼き屋の親父に頼まれた通りに。
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by nozomi_eru | 2011-09-02 19:43 | 日記


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